節税しながら将来に備える個人事業主の退職金制度
皆さん、こんにちは。
長崎県佐世保市で経営コンサルタントをしております、翔彩サポート代表の広瀬です。
『掛金の設定はどうすればいい?』
『解約したら損する?』
『本当に節税になるの?』
経営者なら小規模企業共済についてこのような疑問を持ったことがあるのではないでしょうか。
個人事業主として働くあなたは、将来のための蓄えをどうしていますか? 会社員なら退職金制度がありますが、個人事業主にはありません。
ここで活用したいのが「小規模企業共済掛金制度」。節税しながら老後の資金を確保できる制度です。
この記事では、小規模企業共済について気になることをを起業から経営をサポートする長崎県佐世保市の翔彩サポート、代表の広瀬が解説します。ぜひ最後までご覧ください。弊社は、初回の無料カウンセリングを実施していますので、お気軽にご相談ください。
小規模企業共済とは?

小規模企業共済とは、個人事業主や小規模な会社の経営者向けの退職金制度です。
一般会社員であれば、企業が退職金制度を用意してもらえますが、個人事業主にはそのような仕組みがありません。
小規模企業退職の基本情報
運営機関 | 中小企業基盤整備機構(経済産業省所管) |
対象者 | 個人事業主、中小企業の経営者・役員 |
掛金 | 月額1,000円~70,000円の範囲で選択可能(500円単位で変更可) |
納付方法 | 掛金の納付方法は、口座振替(共済契約者ご本人の個人名義の預金口座)となります。 毎月納付する「月払い」、あらかじめ届け出た月(年1回)に12か月分の掛金を納付する「年払い」、またはあらかじめ届け出た月(年2回)に6か月分の掛金を納付する「半年払い」から選択できます。 |
口座振替日 | 毎月18日(土・日・祝日の場合は翌営業日) |
受取方法 | 退職時に一括、分割、または併用 |
簡単に言うと、個人事業主のための積み立て型の退職金制度であり、さらに節税効果も期待できるとてもお得な制度なのです。
小規模企業共済のメリット

小規模企業共済の主なメリットは、以下の5つです。
- 掛金が全額所得控除!大きな節税効果が得られる
- 退職金として受け取れる&税制優遇あり
- 低金利で資金を借りられる「共済貸付制度」が利用可能
- 国が運営するため、安心して積み立てられる
- 掛金の増減や一時休止が可能!柔軟に対応できる
具体的な内容については、以下で詳しくご説明します。
掛金が全額所得控除!大きな節税効果が得られる
小規模企業共済の最大のメリットは、掛金が全額所得控除の対象になることです。支払った掛金分だけ課税所得が減り、所得税・住民税を節税することができます。
例えば、年間60万円(毎月5万円)の掛金を支払った場合、課税対象となる所得が60万円減るため、税額もその分低くなります。
特に、所得が高い個人事業主や経営者ほど節税効果が大きいので、しっかり活用したい制度です。
退職金として受け取れる&税制優遇あり
個人事業主には退職金制度がないため、事業を辞めた後の生活資金をどう準備するかが課題になります。小規模企業共済に加入していれば、事業を廃業・引退した際に退職金として受け取ることができます。さらに、受け取り方法によって税負担を抑えることが可能です。
一括受取の場合:「退職所得控除」が適用され、税金の負担が軽減される
分割受取の場合:「公的年金等控除」が適用され、毎年の税負担を抑えながら受け取れる
例えば、30年間掛け金を支払い、800万円を受け取る場合、退職所得控除を活用すれば課税対象が大幅に減り、実質的に非課税または低税率で受け取れる可能性があります。退職金としてまとまった資金を受け取れるだけでなく、税負担を抑えられるのが大きなメリットです。
低金利で資金を借りられる「共済貸付制度」が利用可能
事業をしていると、急な資金繰りの問題に直面することがあります。小規模企業共済に加入していると、掛金の範囲内で貸付を受けることが可能です。
- 銀行よりも低金利で借りられる(通常の融資より有利な条件)
- 審査が比較的スムーズ(金融機関よりも柔軟)
- 事業資金や生活資金として活用可能
例えば、「取引先への支払いが迫っているが、売掛金の入金が遅れている」といった場面でも、小規模企業共済の貸付制度を利用すれば、スムーズに資金を確保できます。掛金を積み立てながら、万が一の資金調達手段としても活用できます。
国が運営するため、安心して積み立てられる
小規模企業共済は、中小企業基盤整備機構(経済産業省所管)が運営する公的制度です。一般的な投資商品とは違い、市場リスクに左右されにくく、安定した運用が可能です。
- 元本割れのリスクが少ない(長期間積み立てれば、基本的に元本割れしない)
- 国が運営する制度なので、信頼性が高い
- 積み立てたお金は確実に受け取れる
一般的な投資(株式・投資信託など)と違い、市場の変動によるリスクがないため、確実に資産を増やしたい個人事業主や経営者に最適な制度です。将来のための資産形成を、安全かつ確実に行えます。
掛金の増減や一時休止が可能!柔軟に対応できる
月々の掛金を1,000円~70,000円の範囲で自由に設定できます。経営状況に応じて掛金の追加や一時休止も可能なため、事業の浮き沈みに柔軟に対応できます。
好調なとき→ 掛金を増額し、節税特典を最大化
資金繰りが厳しいとき→ 掛金を減額 or 一時休止
このように、状況に応じた対応ができるのが、小規模企業共済の大きな魅力です。積み立てた掛金は一度、将来の受け取り時にしっかりと退職金や受給金として戻ってくるため、「資金に余裕があるときにしっかり積み立て、厳しいときは調整する」といった柔軟な運用が可能です。
小規模企業共済のメリット

小規模企業共済の主なメリットは、以下のつです。
- 当面での解約は損をする可能性がある
- 掛金の途中引き出しができない
- 途中で掛金を減額・休止すると、将来の受取額に影響が出る
- 受け取り時の税金を考慮する必要がある
- 加入資格に制限がある
具体的な内容については、以下で詳しくご説明します。
当面での解約は損をする可能性がある
小規模企業共済の最大の注意点は、途中で解約すると元本割れする可能性があることです。
解約時のルール
- 20年以上の掛金を支払えば、元本(支払った掛金総額)以上の掛金が受け取れる
- 20年未満の場合は、本割れの可能性あり
- 任意解約すると、掛金の約8割しか戻らないこともある
仮に、10年間毎月3万円(総額360万円)を積み立てた場合、任意契約をすると300万円程度しか戻らないケースがあります。覚悟を決めて準備しない人には向かない制度かもしれません。
掛金の途中引き出しができない
小規模企業共済は、基本的に一度積み立てた掛金を途中で小規模に引き出すことはできません。
「急に資金が必要になったから、掛金の一部だけ引き出したい」と思っても、柔軟な対応はできません。受取は解約時か解約金の支払い要件を満たした場合のみとなります。
ただし、資金が必要な場合は「暇貸付制度」を利用して、積み立てた掛金を確保するために低資金でお金を借りることができます。
途中で掛金を減額・休止すると、将来の受取額に影響が出る
小規模企業共済では、掛金を月1,000円~70,000円の範囲で設定できますが、経営状況に応じて掛金を減額したり、一時休止したりすると、将来の掛金の受取額が少なくなる手続きがあります。
特に、掛金を減らしてしまう場合は、古くなって受け取れる金額が大きく変わるため、計画的に運用することが重要です。
受け取り時の税金を考慮する必要がある
小規模企業共済の受け取り時には、税金がかかる点にも注意が必要です。
受け取り方法と細かいルール
- 一括受取→ 「退職結果」として扱われ、退職結果控除が適用される(税負担は軽い)
- 分割受取→ 「公的年金等」として扱われ、雑結果扱い(年金と同じように現金)
- 一部一括+一部分割→ 両方の暫定を活用できるが、注意な計画が必要
特に分割受取を選んだ場合、公的年金と合算して支払われるため、受け取りタイミングによっては税負担が大きくなる可能性があります。他の退職金(iDeCoや企業年金)について少し考えてみると、退職金の枠を超えてしまい、思ったより税負担が重くなるケースもあります。
加入資格に制限がある
小規模企業共済は、すべての事業者が加入できるわけではありません。以下のような条件を満たす必要があります。
加入対象
- 個人事業主またはその共同経営者(2名まで)
- 会社の役員で、従業員が常時20人以下(商業・サービス業は5人以下)の法人経営者
追加できないケース
- 従業員が多すぎる法人の社長(20人超の場合)
- 副業の個人事業主(主たる事業として認められない場合)
- すでに廃業予定の事業者
つまり、会社の規模が大きくなると追加できなくなるため、将来的に事業拡大を考えている人は、事前計画を立てておく必要があります。
まとめ:小規模企業共済のことを詳しく知りたい方は、翔彩サポートまで
個人事業主の退職金代わりとして活用できるポイントや掛金が限りなく獲得可能な節税効果は、他の金融商品にはない大きなメリットです。これからの事業を安定させ、将来の資産形成を考えるなら、小規模企業休暇を賢く活用することが重要です。今のうちから少しずつ積み上げて、将来に備えて準備していきましょう!
小規模企業共済以外にも、経営について少しでも悩んでいるがあれば翔彩サポートまでお気軽にお問い合わせください。
監修者情報

経営コンサルタント|翔彩サポート
【経営分析×経営アドバイス×財務管理】による永続的に繁栄する経営体制を支援。
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