経営数値を知らないことのリスク
皆さんこんにちは 長崎県佐世保市にある経営コンサルティング会社 翔彩サポートです。
適切な経営判断を行うためには、自社の経営を把握・分析することが重要です。
経営指標を正しく理解することで、自社の経営状況を客観視するために役立てることができます。
この記事では会社経営者が経営数値を知らないことでのリスクについて、起業から経営をサポートする長崎県佐世保市の翔彩サポート、代表の広瀬が解説します。
すでに経営していてこれからどのように経営をしていけば良いか悩んでいる方も、ぜひ最後までご覧ください。弊社は、初回の無料カウンセリングを実施していますので、お気軽にご相談ください。
そもそも経営数値とは?
経営数値にはさまざまなものがあります。
あまりにも多すぎて、数値から目を背けたくなる経営者の気持ちもわかります。
企業は、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書など、さまざまな財務諸表を作成することで経営成績や財務状態を明らかにしています。前年より売上が増加している場合でも、経営状況が悪化していることがあります。
そのような状況は、財務諸表の数字を見ただけではすぐに把握することはできません。別の経営数値を用いて原因を解明しなければいけません。
企業経営の状況を把握し、客観的な視点でとらえるためには、財務諸表上の内容を複合的に分析する必要があります。
財務諸表上に記載された数字を活用し、経営判断に必要な材料として有効な数値にしたものを経営指標とよびます。経営指標はさまざまな角度から経営状況を分析するために使われます。
なぜ、経営指標は重要か?
経営指標にはさまざまな種類があり、分析したい内容によって使い分けることができます。
現在の状況が把握できる
会社を経営するうえでは、利益を上げなければいけません。
「今期の収益がプラスだから良い」と安心してはいけません。プラスならばプラスになっている要因を分析し、より成長できるために何ができるのかを常に考えましょう。
マイナスならば自社の弱点を知り、改善することも必要です。
自社の現状を把握することは、企業の持続的な成長にとって必要不可欠です。経営指標は表面上ではわからない自社の状況を把握するために役に立ちます。
事業計画の策定や見直しができる
短期的でも良いので企業が目指す目標や達成すべき数値、施策を明確化しましょう。
よく、10年の中長期計画を立てることは大切と言われますが、大枠を決めるのはよいでしょう。
しかし、そんな将来のことを考えるより目先1年自分ができる最大限のことを考える方が良いです。
作成義務はありませんが、社内の目標共有や適切な意思決定、課題解決の効率化など、さまざまなメリットがあります。
経営計画は実現不可能な高い理想を掲げるものではなく、合理的かつ実現可能な目標設定をする必要があります。そのため、経営指標を使って自社の経営状況を分析し、強みや弱みを把握することが重要です。経営指標は、企業経営の道しるべの役割を果たします。
経営における判断材料となる
経営者は、日々さまざまな領域で経営判断を下しています。
経営者による判断は自社の将来を左右し、間違えたりタイミングを逃したりするだけで企業は危機的状況に陥りかねません。
そのため、経営者は常に自分の目で事業の状況をよく確認し、現状における自社の長所や短所を把握しなければなりません。
しかし、事業規模の大きな企業や、事業が多岐に渡る企業の場合、経営者一人では事業の状況を確認しきれない場合もあります。そういったときに、経営状況が具体的に数値化された経営指標が役に立ちます。
目的別に見る経営指標
経営指標にはさまざまな種類があり、業種や業態、知りたい内容によって活用できる指標は異なります。
収益性を知るときに見るべき経営指標
収益性とは、企業が利益を上げられるかどうかを意味します。収益性を分析するにあたっては、企業がどのくらい利益を上げているのかを確認するだけではなく、経営のために資本を有効活用しているかどうか、利益を生み出しやすい環境が構築できているかどうかも重要なポイントです。
いわば、事業の強みと弱みを知り、対策していくための分析といえるでしょう。
- 総資本経常利益率
- 売上高総利益率
- 売上原価率
- 売上高営業利益率
- 自己資本当期利益率
安全性を知るときに見るべき経営指標
安全性とは、企業の財政状況の安定性を指します。いくら利益が出ていても、返済能力を超えた債務を抱えた状態では、財政状況が良好とはいえません。企業の安全性を知ることで、返済余力の程度や将来の倒産リスクなどがわかるほか、事業投資が適切に行えているかどうかを判断する基準にもなります。
- 流動比率
- 当座比率
- 固定比率
- 自己資本比率
活動性を知るときに見るべき経営指標
企業の活動性とは、資本を適切に運用し売上を増やす能力をいいます。活動性が高い状態は、少ない資本で大きく売上を上げられていることを意味します。
活動性が悪い場合は、事業の収益性や安全性に問題がなくても、古い在庫が残っていたり資産を有効に活用できていない可能性があり、あまり良い経営状態とはいえません。
- 総資本回転率
- 流動資産回転率
- 固定資産回転率
- 売上債権回転率
生産性を知るときに見るべき経営指標
生産性は効率性とも言い換えることができます。つまり、事業運営のために費やしている費用が効率よく売上につながっているかどうかを判断します。生産性を分析するためには、現在の商品やサービスの競争力や、人件費や設備などへの投資効率を測ることが重要です。
- 労働分配率
- 労働生産性
- 資本生産性
成長性を知るときに見るべき経営指標
企業の成長性は、経営拡大の度合いや今後の可能性によって判断されます。企業の売上高や総資産などさまざまな指標を比較することで、企業がどれほどの成長力を持っているのかを測ることができます。
- 売上増加率
- 経常利益増加率
- 総資本増加率
- 純資産増加率
経営数値を知らないことのリスク
経営数値を知らないことでのリスクは、経営方針を固められないことにあります。
皆さんは、体調が悪かったらまずどうしますか?
病院へ行って検査をして、医師の診断を聞いてから治療もしくは薬を処方してもらいませんか?
健康でいたい人は、毎年健康診断や人間ドッグを受けて悪い所の早期発見をしていませんか?
経営も同じなのです。
悪い所が見つかったら改善しないといけませんし、その悪い所を知るためには分析が必須なんです。
この分析をせずして、何か取り組みを行うことが悪いといいませんが、果たして効果的な対処法なのでしょうか。
経営者が経営数値を知らないと、永続的に経営を繁栄させることは難しいでしょう。
経営指標活用の際に押さえるべきポイント
経営指標を活用した経営分析にはさまざまな方法があり、企業経営の現状を効率よく把握できるため非常に便利です。
しかし、扱う商品やサービスが千差万別であるように、企業経営には一つとして同じパターンはありません。
経営指標はあくまで一般的な目安であるということを認識しておきましょう。ここでは経営指標を活用するうえでの注意点を解説します。
戦略に合う数値の見極め
全ての経営指標を正常な範囲内で推移させれば、企業経営は安泰といえます。しかし、世の中にはあえて赤字経営にする企業や、当座比率が100%を下回っていても問題なく運営している企業が存在します。
業績が良く利益が出ている場合でも、役員や従業員の報酬を増やすことで経常利益率を下げ、法人税の負担を軽減したり従業員満足度を向上させたりする企業は少なくありません。また、事業の開始直後において市場シェアを獲得するために莫大な広告宣伝費を投入している場合のような、戦略的な赤字経営もあるでしょう。
このように、赤字だからといって良し悪しの判断はできません。経営方針や経営戦略によって、適正な数値は異なるためです。経営指標の基準値を満たしていることよりも、企業の目指すべき方向や考え方を考慮したうえで、分析するべき項目を厳選しましょう。
数値の結果は大切だが、それだけではない
まずは経営指標の数字を読み、その数字の裏に隠れている意味や価値を考えることが、経営分析の本来の目的です。
財務諸表には企業を取り巻く外的要因や従業員満足度、将来的なリスクなどは現れません。このため、数字のみを分析するのではなく、その数字がなぜそうなったのか、現実の経営状況に則した分析が必要です。財務指標以外の情報やデータも積極的に入手し、総合的に経営改善を進めていくことが大切です。
現状分析に留まらず、次の取り組みへと繋げる
財務諸表は、企業経営の過去の一定期間の「結果」を表したものです。経営指標を活用した分析を行う際は、現在の事業活動や組織のどのような部分が経営指標の数字に結びついたのか、現在・過去・未来についてしっかりと考えなければなりません。
「何が原因で業績が向上・悪化したのか」を追求し、その対策を講じなければ、経営分析を未来に活かすことはできないでしょう。経営指標はこうした分析の際に思い違いをしないための道しるべとなります。経営分析においては、将来の経営改善を目標にして、常に現状を把握することを忘れないようにしましょう。
まとめ
企業を経営するにあたっては、日々の変化を見逃さず、注意深く判断する必要があります。しかし、表面上の数字を見ているだけでは、事業の深部で何が起きているか把握できません。
経営指標は、企業経営に関連するさまざまな数字に意味を持たせ、適切な経営判断に導いてくれる道しるべとなる指標といって良いでしょう。代表的な経営指標とその使い方を理解しておくことで、より客観的に自社の経営を見据えることができます。
企業をより繁栄させていくためにはそれだけでは足りません。自社や業種特化した専門的な数値分析が必須です。
より専門的な数値分析を行いたい方は、ぜひ翔彩サポートへご相談ください。
監修者情報

経営コンサルタント 翔彩サポート 代表 広瀬祐樹
【経営分析×経営アドバイス×財務管理】による永続的に繁栄する経営体制を支援。
経営について悩んでいることがあれば、どんなことでも構いません。お気軽にご相談ください。