【アパレル】税務調査、追徴課税5,000万円への対応

コンサル実績

【アパレル】税務調査、追徴課税5,000万円への対応

まずはじめに、翔彩サポートは経営コンサルタントであり、税理士ではありませんので税務調査対応はできません。今回、ご相談いただいたのは従来の知人からの紹介であり、特殊なケースだとご理解ください。

クライアント概要&相談内容

ご相談いただいたのは、東京都でアパレルを経営されている個人事業主の方です。
経営歴は10年以上、開業した当初からこれまで顧問税理士は付けたことがなく、ご自身で確定申告をされていました。
税務調査を経験したことがある方は分かるかもしれませんが、これまで税務調査に入られたことがない方のために一通りの経緯を細かく記します。

2023年10月14日:衝撃の電話

仕事のため、長崎県大村市へ向かっていた時、一本の電話が鳴った。
「広瀬、助けて!」
普段から連絡を取り合っている知人からのあまりにも急な電話に驚きを隠せなかったが、詳しい状況を説明してもらった。
「東京で経営している人が、人生初めての税務調査に入られるみたい・・・。顧問の税理士もいないから何をどうすれば良いか右も左も分からないって言ってるんだけど、一度でいいから相談に乗ってあげてくれない?」と電話越しからの悲痛なSOS。
税理士ではないから税務調査に同席することはできないけど、経営に関することだから経営コンサルタントとしてできる限りのことはさせてもらうことを了承の上で、東京へ訪問する旨を伝えた。
考えられるリスクや大まかな税額についての相談ができる日程を同日に共有し、この日は、先方からの返事待ちとなった。

2023年10月23日:相談者から連絡あり

「11月に税務調査で調査官が自宅に来ます。詳しい話をしたいので、その前に一度お会いできませんか?」と相談者ご本人からの電話。
もちろん、二つ返事で承諾した。
東京へ訪問する日が10月31日と決まったが、その日まで相談者の不安は募っていく一方だと思った。税務調査を経験した方なら理解できると思いますが「答えのない漠然とした問題を解かされる」あの感じは精神状態を不安定にしてしまう。
税務調査は体力勝負。根掘り葉掘り聞かれる現場に耐え切れず、認めなくて良いことも認めることもあるものです。
自分が東京へ向かうまでの期間、少しでも不安なことがあったら連絡をもらうよう促し、税務調査当日に万全の状態で挑めるようにしてもらった。

2023年10月31日:東京へ、初対面

今回、調査対象となる税目は所得税と消費税の2つ。
事業内容および帳簿処理の方法、帳簿書類、仕入から売上までの流れについての詳細をヒアリングさせていただいた。
ヒアリングさせていただいた上で、争点として考えられる4点をお伝えしました。

  • 売上の計上漏れ
  • 仕入および経費関係の支払い
  • 経費の追加計上
  • 重加算税と調査期間

売上の計上漏れ

確定申告書上に記載している売上が通帳の入金ベースで計上されているが、別口座への入金分が記載されていない。売上の計上漏れは税務調査において一番やってはいけないことであり、税務署が一番嫌うことであるため所得税および消費税の追徴課税は免れないことに加えて罰金の対象となるかどうか。

仕入および経費関係の支払い

支払は通帳から振込しているのがほとんどだが、それを証明するための請求書や領収書が一切保管がありませんでした。証明するための資料が無ければ経費として本当に使ったものなのか分からないため仕入税額控除の要件を満たしていないことで追徴課税の対象になる可能性がとても高い。

経費の追加計上

確定申告書に記載している経費に本来経費として認められるであろう地代家賃などを認めてもらい、所得税の負担軽減ができるように打診。

重加算税と調査期間

売上の計上漏れは「故意によるもの」だと思われるのがほとんどであり、重加算税の対象となることが多いです。
さらに、杜撰な帳簿保存であったことから調査期間が長くならないかどうかが懸念事項として残っていました。
調査対象期間は3年と聞かされていたため、上記内容をもとに概算額をシミュレーションしただけでも約2,000万円の追徴課税が出る予測になりました。
これでもかなりの金額だと思いますが、現実はそんなに甘くはありませんでした。

2023年11月:調査当日

9:00ちょうどに玄関のインターホンが鳴った。
調査官は1名、部屋に入ってきてすぐ衝撃な内容を告げてきた…
「調査対象期間は7年、すべて重加算税の対象となります」
この瞬間、呆然とする相談者。
予測した2,000万どころの騒ぎではなく5,000万近い追徴課税になってしまう…これをすべて反対せずに税務署の意見を全て受け入れたとして、事業存続どころか相談者自身やご家族の生活が保障できない。
あまりにも無理な要求に対して、こちらとしてもできる限りの抵抗を必死に続けた2時間30分…
調査期間の短縮および仕入・経費関係の仕入税額控除を認めてもらうなど、何とか最悪の事態は免れるように話を持っていくことができた。
予想をはるかに上回ってくる税額結果を待つだけでは時間がもったいないため、税務調査の同日に金融機関へ借入相談に行くことを提案しました。
※本来はこのような意図で借入を申し込むこと自体NGです。しかし、相談者の明日が見えない以上この選択をするしかありませんでした。
調査終了後、日本政策金融公庫へ初回借入相談の申し込みのため電話をし、すぐに訪問する旨を伝え、その日に申し込みまで完了しました。(この借入相談も同席)
この税務調査を踏まえ、経営が今後困らないようにしないといけない。
税務調査結果待ちの状況で今できる行動を3つ提案しました。

今後の取り組み

下記取り組み内容は現段階における初期の内容であり、順を追うにつれて取り組むことの軌道修正や更なる取り組みが必要になることを了承してもらいました。

  • 借入のための事業計画書の作成
  • 顧問税理士の選定
  • 2023年の確定申告に向けた帳簿整理

借入のための事業計画書の作成

事業の売上や利益は順調であったため、返済の目処が立ちやすいことが何よりの支えでした。
利益を出してこそ借入交渉も上手く進めることができます。今後の経営計画を相談者とzoomにて打合せを行い、事業計画書を作成しました。

顧問税理士の選定

法律を扱うとなると、私では対応できる範囲の限界を超えていると感じていたため、知人の顧問税理士をご紹介いただくか、税理士会への相談を促しました。
その目的は2つです。
①日本政策金融公庫からの借入が難しい場合の備え
⇒地場の税理士であれば、地方銀行との繋がりが必ずといっていいほどあるため、自ら地方銀行へ借入相談を行よりもスムーズに進められる。

②2023年の確定申告の準備
⇒今回の調査で重加算税を免れるのはハッキリいって無理です。3~5年後にもう一度税務調査が実施される可能性が極めて高いので、2023年度の申告から漏れを無くす。

2023年の確定申告に向けた帳簿整理

売上や仕入、経費関係の請求書はすべて保管することを徹底するようにお伝えしました。
今すでにないものに関しては再発行を依頼するなり、動けることは動いていただくよう依頼し、領収書をもらう癖がなかったので、支払をしたら必ず領収書を保管するようにし、作成した現金出納帳などで現金管理を徹底するよう指導まで行いました。

税務調査結果

必死に抵抗したことが功を奏し、相談者寄りの結果になりました。

税務調査期間:当初7年間分を対象としていたが5年分へと短縮
重加算税:調査対象期間5年のうち3年分のみ
仕入税額控除:原価に関係するものの多くを容認

追徴課税はすべて合わせて約1,900万円が発生するが、税務調査当日に宣告された5,000万円から約3,000万円抑えることができました。
今後はこの追徴課税分を支払っていくために売上はもちろん利益を残していかないといけないということで、税務調査対応後も引き続き経営全般に関するアドバイスを欲しいとの依頼をいただきました。

今後の方針

今の経営状況をより深く分析し、一番資金繰りが困らない方法を提案しています。
事業で生み出す資金をすべて追徴課税の返済に充てても、次の売上を作ることができないのでいい塩梅での調整が必要となり、常に相談しながら進めています。
提案させていただいたことをすぐに実行するかどうかは一年間の動きを見て検討するということだったので、今できる最大限のことを行いながら、永続的に繁栄するための経営を作っていきます。

費用

サービス内容金額            
経営(役員)会議110,000円(税込)