起業形態にはどんなものがあるの?

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起業形態にはどんなものがあるの?

皆さんこんにちは 長崎県佐世保市にある経営コンサルティング会社 翔彩サポートです。

これから起業を考えている方にとって、起業する形をどうしたら良いか悩みの一つになっていることでしょう。

一番避けないといけないのは、起業するからといって安易に法人設立をするということです。

起業形態は色んな方法があるなかで、ご自身が行う事業内容によって最適なものは異なります。
「個人事業主と法人どちらで起業するべきか」という問題を検討し、法人で起業すると決めた後「株式会社や合同会社、一般社団法人といったどの法人にするべきか」と考える必要があります。

起業の種類は大きく分けて2つ

起業の種類は大きく分けて個人事業主と法人設立の2つがあります。

それぞれ性質や特徴が異なりますので、内容を把握した上でご自身に合う方法を選択してください。

個人事業主と法人設立の概要について解説します。

個人事業主

企業や団体に雇用されずに個人で事業を運営する事業形態のことをいいます。

フリーランスや自営業と呼ばれる方々もこれに含まれ、事業を行い継続的に収入を得ている場合に該当します。

個人事業主として開業した際に開業届の提出は、義務として法律で定められていますが、提出しなくても罰則はありません。しかし、開業すると決意したのであれば開業届は提出しましょう。

開業届と合わせて青色申告承認申請書の提出も忘れないようにしてください。青色申告の事業者になれば、得られる恩恵が多いので、提出しない理由がありません。

弊社では、せっかく事業をするのであれば青色申告を強くおススメします。

事業内容にもよりますが、サラリーマンとは違い収入が安定しないことも想定されるため、起業する際は慎重に検討することが大切です。

法人

法人設立は、起業するにあたって最も一般的な起業形態です。

株式会社が一般的に広く知られていますが、ほかに合同会社、合資会社、合名会社があります。

近年では合同会社を選択するケースが増えてきており、法人設立も多様化している傾向にあります。

個人事業主と法人、どちらを選ぶのが良いか?

このテーマに関しては一概に言えません。

それは、個人事業主と法人、どちらにもメリットとデメリットが存在するため、弊社においてはその方に合った起業の形を提案するようにしています。

一般的に個人事業主は所得が低い場合は有利、所得が高い場合は不利、法人は所得が低い場合は不利、所得が高い場合は有利といわれています。個人事業主として成功すると法人化するのはそうした理由からです。

また、所得に関係なく信用面での問題から法人を選ぶ方もいらっしゃいます。法人と取引する際、個人事業主よりも法人の方が仕事に繋がりやすいケースがあります。なかには、社内手続きの煩雑さから個人事業主との取引はしないという会社もありますので、独立する際は、これらの違いを参考に個人事業主か法人かを選びましょう。

会社設立ならどの形態を選べば良い?

会社を設立するなら、株式会社か合同会社のどちらかを選ぶ場合がほとんどでしょう。

株式会社が多いのは、他の会社形態よりも知名度が高く、取引先や金融機関からの信頼を得やすかったり、資金調達の幅が広いというメリットがあるからです。

以下の会社形態ごとの特徴を参考にしながら、自社の事業内容や取引先の状況なども考慮したうえで、最適な会社形態を選ぶようにしてください。

株式会社

株式会社は、株式を発行することで資金を集め、事業を行います。

株式による資金調達は、株式会社以外ではできません。

株式会社の特徴は、所有と経営が分離していることです。

出資者である株主と経営者の役割は切り離されており、事業活動によって得た利益の一部は、配当金という形で株主に分配されます。

なお、出資者(株主)は同一でも問題ありません。

特に、小規模事業者の場合には、出資者が経営者となることが一般的です。

また、4つの会社形態のうち株式会社のみ、毎年の決算公告が義務付けられています。

決算公告とは、会社の成績や財務状況を出資者(株主)および債権者に明らかにし、取引の安全性を保つために行うものです。

その他、株式会社は、会社設立時に公証役場で定款の認証を受けなくてはなりません。

株式会社以外の3形態の会社は、定款の作成は必要ですが認証は不要です。

株式による資金調達を行いたい方や、自ら出資は行わず会社の経営のみに専念したいという方は、株式会社を選ぶことを検討してみてください。

合同会社

合同会社の特徴は、出資者と経営者が同一ということです。

出資者と経営者の役割が切り離されている株式会社とは異なり、合同会社では出資者(社員)=経営者であり、原則として全ての社員が経営に対する決定権を持ちます。

出資者自身が経営を行うため、事業を行ううえで迅速な意思決定が可能な点が、合同会社のメリットといえるでしょう。

なお、複数の社員がいる場合、業務執行権を持つ業務執行社員や代表権を持つ代表社員を定款で定めることができます。

出資者(社員)の責任範囲は、株式会社と同様に有限責任です。

合同会社には、株式会社に比べて、設立にかかる初期費用が低いという特徴もあります。

例えば、法人設立登記にかかる登録免許税は、株式会社が15万円からであるのに対して、合同会社は6万円からです。株式会社で必須となる定款認証が不要なので、認証手数料(3万~5万円)がかかりません。

さらに、決算公告義務もないため、決算公告に関する費用も不要です。

一方で、株式会社に比べて知名度が低いことや、株式発行ができないため資金調達手段が限られるといったデメリットもあります。

自ら出資と経営の両方を担いたい方や、設立にかかる初期費用を抑えたい方は、合同会社を選ぶことを検討してみましょう。

合資会社

合資会社は、合同会社と同様に、所有と経営が一致した持分会社です。

設立方法や設立費用なども、基本的には合同会社と同じです。

ただし、有限責任社員だけで構成される合同会社とは異なり、合資会社を設立するには、無限責任社員1名以上と有限責任社員1名以上が必要になります。

そのため、4つの会社形態の中で、合資会社だけは最低でも2人以上の社員がいないと設立することができません。

もし、有限社員1人のみ、もしくは無限社員1人のみになってしまった場合には、他の会社形態への組織変更が必要になります。

株式会社や合同会社は資本金が最低1円以上必要ですが、合資会社と合名会社は資本金が0円でも設立可能という特徴があります。

これは、合資会社と合名会社には資本金の規定がなく、金銭による出資や現物出資の他に、労務の提供による労務出資や、自身の信用を会社に利用させることを目的とした信用出資が認められているからです。

労務出資と信用出資は、いずれも無限責任社員にのみ認められる出資形態です。

無限責任社員は、倒産時などには会社の負債全額に対して責任を負わねばならず、個人の負担が非常に大きくなる可能性があります。

そのため、2006年施行の会社法によって合同会社が創設されて以降は、あえて合資会社を選ぶメリットが少なくなり、近年では新設数が減っています。

有限責任社員と無限責任社員で会社を構成したい方や労務出資・信用出資を行いたい方は、合資会社を検討してみてもいいでしょう。

合名会社

合名会社も、合同会社や合資会社と同じく、所有と経営が一致した持分会社です。

設立方法や設立費用も、基本的には合同会社や合資会社と変わりません。

また、合資会社と同様に資本金の規定はなく、資本金0円でも設立可能です。

合名会社の特徴は、出資者(社員)全員が無限責任社員であることが挙げられます。

無限責任社員のみということは、複数の個人事業主で構成されているようなものです。

無限責任社員は会社の負債に対してすべて責任を負わなければならないので、4つの会社形態の中で最も厳しい条件にある形態だといえるかもしれません。

合名会社も、2006年の会社法施行で合同会社が創設されて以降は、メリットをあまり得られないことから新規設立の数が減少しています。

無限責任社員のみで会社を構成したい方は、合名会社を選ぶことを検討してみてください。

会社形態を比較する際のポイント

4つの会社形態にはそれぞれ特徴があります。会社形態を選ぶときには、以下のポイントを比較して検討すると、自社に会社形態が見つかりやすいでしょう。

会社形態を比較する際のポイント

  • 設立時の費用
  • 会社経営をするうえでの意思決定のしやすさ
  • 資金調達方法の幅広さ
  • 出資者の責任範囲
  • 会社形態の知名度

設立時の費用

会社形態を比較する際のポイントは、設立時にかかる費用です。

会社設立に必要な費用は、株式会社が18万円からであるのに対し、持分会社(合同会社・合資会社・合名会社)は6万円からと、最低金額に3倍ほどの差があります。

会社設立にあたって少しでも初期費用を少なくしたい場合には、持分会社を選んだ方がメリットは大きいでしょう。また、株式会社は公証役場で定款の認証を受ける必要がありますが、持分会社は定款認証が不要なので、会社設立にかかる時間を短縮したい方も、持株会社を選ぶといいでしょう。

会社経営をするうえでの意思決定のしやすさ

会社形態を比較する際のポイントは、会社経営をするうえでの意思決定のしやすさも挙げられます。

株式会社は出資者と経営者が切り離されているため、重要事項を決定する際には株主総会の開催が必要です。

対して、持分会社(合同会社・合資会社・合名会社)は、出資者=経営者なので意思決定がスピーディになり、経営の自由度が高くなります。また、持分会社は不特定多数の第三者からの出資を想定していないため、会社経営に第三者が介入しづらいという特徴もあります。会社の経営に自由度を持たせたいと考えている方は、持株会社を検討してみてください。

資金調達方法の幅広さ

会社形態を比較する際のポイントは、資金調達の幅広さもあります。

4つの会社形態のうち、株式会社だけが株式発行による資金調達が可能です。将来的に大規模な資金調達を考えている場合には、資金調達方法の幅が広い株式会社が向いているでしょう。

持分会社の場合は融資や補助金、助成金などが主な手段となり、株式会社に比べて資金調達の方法が限定されます。将来的に大規模な資金調達を行いたい方は、株式会社を選択してください。

出資者の責任範囲

会社形態を比較する際のポイントは、出資者の責任範囲もあるでしょう。

株式会社と合同会社は、出資者はすべて有限責任です。もし、会社が倒産した場合、出資したお金は返ってきませんが、それ以上の責任を問われることはありません。

一方、合資会社は有限責任社員と無限責任社員が各1名以上、合名会社は無限責任社員のみで構成されます。無限責任社員は、会社が倒産して債権を払いきれない場合、個人資産で債権者に支払わなければなりません。有限責任である株式会社や合同会社に比べて、出資者のリスクが大きいといえるでしょう。出資者のリスクをなるべく抑えたい方は、株式会社または合同会社を選びましょう。

会社形態の知名度

会社形態を比較する際のポイントは、会社形態の知名度も挙げられます。

4つの会社形態の中で、最も知名度が高いのは株式会社です。合同会社は最近増えてきているとはいえ、株式会社に比べれば数も少なく、それほど知名度は高くないのが現状といえます。合資会社や合名会社に至っては、そのような会社形態があることを知らない方もいるかもしれません。

会社形態の知名度が低いと、取引先に資金力不足といった誤った先入観を持たれたり、採用時に人材を集めにくかったりする可能性もあります。特に、大手企業と取引をしたい場合には、社会的な信用が必要になるため、株式会社を選んだ方がいいでしょう。

会社形態は、会社設立後に変更することも可能

会社形態は、設立後に変更することもできます。例えば、早く会社を設立したい場合や、株式上場や資金調達のことはまだ決めていないというような場合、まず合同会社を設立し、事業が安定してから株式会社に変更するのもいいでしょう。反対に、所定の手続きを行えば、株式会社から合同会社への変更も可能です。

とはいえ、設立後すぐに会社形態を変更することになると、再度登記が必要になり費用がかかってしまううえ、事業の開始が遅れてしまいます。どの会社形態を選ぶか迷ったときには、税理士や司法書士などの専門家に相談するのも1つの方法です。

まとめ

現在、日本で新しく設立できる会社の形態は、株式会社、合同会社、合資会社、合名会社の4種類です。実際には、株式会社もしくは合同会社のどちらかを選ぶことが一般的といえます。

会社形態を検討する際、会社の規模や事業内容、将来の目的などによって重視するポイントは変わります。それぞれの会社形態の特徴を理解したうえで、自社に合った形態を選択するようにしましょう。

上記以外にもご不明な点等ございましたら、翔彩サポートまでお気軽にご相談ください。

監修者情報

経営コンサルタント         翔彩サポート 代表 広瀬祐樹

【経営分析×経営アドバイス×財務管理】による永続的に繁栄する経営体制を支援。

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