中小企業が黒字でも廃業する理由とは?

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中小企業が黒字でも廃業する理由とは?

皆さんこんにちは 長崎県佐世保市にある経営コンサルティング会社 翔彩サポートです。

今回は「中小企業が黒字でも廃業する理由」について解説します。

後継者問題や人材不足、将来に対する不安などの理由で、廃業を考える経営者は少なくありません。
しかし、廃業すると従業員や取引先に迷惑をかけたり借金が残ったりするなどのリスクがあります。
これらのリスクを回避するには、廃業以外の選択肢も検討することが必要です。

中小企業が廃業を選ぶ理由

黒字でありながら、廃業を選択する中小企業が増えているのが現状です。黒字でも廃業を決断する理由にはいくつかあります。

事業の引継ぎに消極的になっている

経営者が事業の引き継ぎに消極的になることが、廃業を選択する理由の一つです。特に会社が業績不振に陥ると、後継者を探すより廃業を選択する傾向にあります。経営難の会社に興味を持つM&A先は見つからないと思い込み、専門家に相談せずに廃業を決める経営者も少なくありません。

また、競争が激しい飲食店や旅行会社などのサービス業、時代の変化で需要が低迷する業種は経営が低迷することも多く、廃業につながりやすいです。

なかには、M&Aに前向きな経営者もいますが、業績不振を理由に思うように買い手が現れない事例もあります。しかし、金融機関や商工会議所、M&A仲介会社などの専門家に相談すれば、課題を解決できることも多いです。廃業を避けたいなら、専門家への相談をおすすめします。

後継者を確保できていない

企業を継いでくれる後継者がいれば、廃業ではなく、事業承継を選択することが可能です。しかし、職業選択の自由がより尊重されるようになった現代では、簡単に後継者は見つかりません。親族に後継者がいない場合は従業員から候補者を探せますが、後継者に資金負担が生じるなどの理由で引き継ぐことがかなわず、廃業を決断する経営者もいます。

60歳以上の経営者のうち、5割超が将来的な廃業を予定していることがわかりました。
このうち後継者がいないことを理由に廃業する企業が3割に迫ります。後継者が見つからないまま経営者が高齢になると、十分な引き継ぎ時間を確保できない状況に陥ります。その結果、早い段階で廃業を決断する経営者が増えています。

従業員を確保できない

会社を経営するにあたって重要なのは、人間の労働力です。人材が集まらなければ、経営は成り立ちません。特に、地方は人材不足が深刻で中小企業ほど人材が集まりにくいです。

また、国家資格など特殊技術を持つ従業員の確保が必要な企業においても、応募者が現れず、人材不足に陥るケースが見られます。日本社会は少子高齢化が急速に進んでおり、今後も人材不足の課題を抱え続けることになります。

採用を重要視するあまり、人件費や採用コストが高騰して経営が圧迫され、資金難で廃業に至る企業も少なくありません。

継承するつもりがもともとない

はじめから自分の代で事業を終えるつもりだった経営者も一定数存在します。

経営者が事業を継続しなかった理由として、「次世代へ引き継ぐ意思がなかった」がもっとも多いことがわかりました。事業を次世代へ引き継ぐ意思がない経営者は、黒字経営でも廃業を選択します。

また、地方では連鎖的な廃業が目立ちます。周りの同業者や取引先が廃業することを機に、自社の廃業を決断することも少なくありません。地方は地域コミュニティーが発達しており、住民同士のつながりが強い傾向があり、同業者や取引先の動向が広がると連鎖的に廃業が起こることもあります。

事業の将来性に不安を感じている

廃業は経営難に陥った企業がするものと思われがちですが、黒字経営でも将来性が見込めないと判断すると、廃業を選択する経営者もいます。産業構造の変化に伴い将来的な展望が見えなくなり、廃業を決断するケースもあるでしょう。

事業の将来性に不安を覚えて廃業を選択する経営者は、後継者に大きな負担を負わせたくないと考えます。その気持ちから積極的に後継者候補を探すこともないため、廃業への道を進んでいきます。

また、赤字経営が続く企業は、金融機関からの融資が受けられなくなります。融資を受けられないと運転資金が足りず、最終的に倒産に至ることも多いです。経営状況にもよりますが、倒産といった最悪の結果を避けるために廃業を選ぶ場合もあります。

中小企業が廃業するメリット

廃業と聞くとネガティブな印象を持ちますが、実は悪いことだけではありません。倒産に陥る前に廃業を選択することで、いくつかメリットがあるのも事実です。

精神的な負担を解消できる

廃業により、健康問題や将来への不安によってのしかかる精神的な不安を解消できます。
事業を存続できる事業承継でも精神的負担は減らせますが、経営を引き継ぐためには長期にわたり後継者育成や各種手続きなどに取り組まなければいけません。健康問題を理由に経営から退く場合、準備期間が長いことから、事業承継に負担を感じる経営者もいます。

また、家族や親族、従業員に事業を承継した場合でも将来への不安は解消されず、精神的な負担を抱え続ける経営者も多いです。
健康問題や将来への不安を理由に引退する経営者の場合は、事業継承より廃業のほうが精神的負担が少なくなります。

廃業は破産手続きが必要ない

廃業は企業が債務を完済すれば、通常清算の手続きにより事業を終了できます。通常清算とは、解散した会社が残した債務を全額支払うことが可能な場合にとられる清算方法です。

一方、破産手続きは、裁判所への申し立てが必要です。通常清算は裁判所の関与なく債務を完済可能であるのに対し、破産は裁判所の関与により残債務を消滅させます。

関係者への悪影響を抑えられる

廃業を選択することで、取引先や顧客、従業員などの関係者への悪影響を抑えられます。
企業が破産すると、従業員の退職金や取引先への買掛金などの債務を返済できません。取引先や顧客、従業員の人生に悪影響を及ぼすこともあるでしょう。

一方、破産せざるを得ない状況に陥る前に廃業した場合、倒産に比べると関係者に迷惑がかかりません。
「関係者に迷惑をかけたくない」という思いを抱える経営者ほど、倒産に追い込まれるまで事業を継続してしまうことも多いです。しかし倒産すると関係者への迷惑が大きくなる場合もあるため、戦略的に廃業を選ぶのもひとつの方法です。

中小企業が廃業するデメリット

連鎖的廃業のリスクがある

債務の返済を完了できたとしても、取引先など関係者への影響がなくなるわけではありません。廃業することにより、自社と仕入れや卸しで取引がある会社に影響を及ぼす可能性があります。特に、相互関係が深いほど与える影響は大きくなり、連鎖倒産する企業が出てくる可能性があります。

手続き費用がかかる

廃業をするには手続きに諸費用がかかります。たとえば、オフィスや店舗を借りている企業の場合、退去時に原状回復費用がかかるでしょう。商品を扱う企業は、在庫を処分する際に費用が発生します。そのほかにも解散登記や官報公告費用をはじめ、司法書士や税理士など専門家への依頼費用もかかります。

従業員の雇用を守れない

廃業すると会社が消滅するため、従業員を雇用することができません。従業員の働く場所がなくなるため、従業員の人生に大きな影響を与える場合があります。
廃業に伴う従業員の解雇は精神的な負担が大きく、頭を悩ます経営者も少なくありません。

借金が残る場合がある

廃業すると借金が残り、返済に追われる場合があります。廃業後に借金が残るかどうかは、個人保証の有無が関係します。廃業後に個人保証のある負債が残った場合、保証人である代表者に返済義務が生じます。
借金の返済に苦労する場合は、個人保証を減免できる「経営者保証免除特例制度」の活用をおすすめします。

まとめ

廃業を決断する理由にはさまざまあると思いますが、そうなる前から対策を講じていく必要があります。

そんな言われなくてもわかってはいるけど…と思う方も多いと思いますが、はたしてその時その問題に対して全力で予防対策できていましたか?

問題を後回ししたことはありませんでしたか。

経営において少しの問題を放置してしまうことで良い結果を得られるケースは少ないです。

上記以外にもご不明な点等ございましたら、翔彩サポートまでお気軽にご相談ください。

監修者情報

経営コンサルタント         翔彩サポート 代表 広瀬祐樹

【経営分析×経営アドバイス×財務管理】による永続的に繁栄する経営体制を支援。

経営について悩んでいることがあれば、どんなことでも構いません。お気軽にご相談ください。