売上低迷時における内的要因

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売上低迷時における内的要因

皆さんこんにちは 長崎県佐世保市にある経営コンサルティング会社 翔彩サポートです。

前回は外的要因について解説しましたので今回は、「売上低迷時における内的要因」について解説します。

売上が低迷した時には、外的要因だけではなく内的要因にも注目しましょう。

内的要因

売上低迷の原因が自社にある場合、以下の6ポイントを確認しましょう。

  • 商品やサービスの質の低下
  • スタッフモチベーションの低下
  • リピート率の減少
  • 客単価の低下
  • 新規顧客の減少
  • 現状の停滞

商品やサービスの質の低下

内的要因の最たるものとして、商品やサービスのクオリティが低いと、顧客は満足せず競合商品やサービスへと移ります。

商品・サービスの品質が低下するとSNSを中心にネガティブな口コミが広まりやすく、口コミサイトや書き込みのできる掲示板でもネガティブなケースとして広く情報共有されるため、品質の低下には注意が必要です。

定期的に顧客アンケートを実施し顧客の意見を確認することが大事です。

近年では、品質低下に関して広報や担当者が満足に理由を説明できず、さらに低評価や炎上につながるケースもみられるため、品質管理とともに担当者との認識の共有も行いましょう。

スタッフモチベーションの低下

社員のモチベーションが低下すると、営業活動やマーケティングに影響が出やすく中長期的に見てネガティブな内的要因となることがあります。接客態度や営業結果などに影響があらわれ顧客が離れる原因にもなります。

モチベーションが低下すると新規案件の受注数や契約数が減少し、売上の減少に直結します。

マーケティング担当者のモチベーションが低下すれば、SNSの更新が滞ったり他の業務と広報活動の兼務が難しくなったりして、結果として売上減少を引き起こす可能性が高まります。

また、労働条件や評価制度を見直したり、成功体験が積める教育方法を取り入れたりすると、モチベーションアップにつながります。

健全な職場環境をつくり、従業員が主体的に働けるようにすることが重要です。

リピート率の減少

1人の顧客が何度も購入することで継続的に売上が上がります。

既存顧客のリピート率を上げるには、DMの送付やメールマガジン、LINE公式アカウントの活用などの方法が有効です。

顧客のニーズに合わせてタイミング良く接点を持つことで購入を促せます。

客単価の低下

1人の顧客が1回で購入する金額が下がると、売上も下がります。

より安価な商品が選ばれていたり、一度に購入する量が減っていたりする場合、その原因を突き止めて対策をとる必要があります。

客単価を上げるには、顧客がほしくなる商品の配置やセット販売などが効果的です。

新規顧客の減少

新規顧客が減少すると、リピーターを増やすことができません。

新規顧客が獲得できない原因は、潜在顧客への認知や顕在顧客へのアプローチが足りないと考えられます。

既存顧客を分析し共通点を見つけることで、見込み顧客へのアプローチ方法がわかります。

リピーターの有無に関わらず、どのような形態のビジネスでも新規顧客の数は常に売上に直結します。新規顧客の中からリピーターが生まれたり、ポジティブな口コミが波及したりする可能性もあるため、常に気を抜かず新規顧客の開拓に努めなくてはなりません。

現状の停滞

現状のまま停滞することは、売上低迷を招きます。

現状の分析をせず、同じことを繰り返していても成長は望めません。

今は売上が低下していなくても市場の変化についていけなければ、いずれ売上は下がってしまうでしょう。

好調なときほど現状分析を実施し、改善を繰り返すことが重要です。

売上低迷の原因分析に役立つフレームワーク

ここでは、売上低迷の原因を分析するのによく使われているフレームワークを5種類紹介します。

  • PEST分析
  • ロジックツリー
  • 3C分析
  • SWOT分析
  • ファイブフォース分析

PEST分析とロジックツリー、3C分析とSWOT分析のように、複数のフレームワークを組み合わせて使うことも可能です。

PEST分析

PEST分析は外部環境を分析するフレームワークです。

外部環境の中でも自社の力ではコントロールできないマクロ環境を分析するのに適しています。

マクロ環境とは以下の4種類です。

政治(Politics)

法改正、増税、減税、補助金交付、規制緩和、政権交代、政策転換など

経済(Economy)

景気、為替相場、株価、金利、賃金、原油価格、消費者物価指数など

社会(Society)

流行、トレンド、ライフスタイルの変化、宗教、文化、人口、少子高齢化など

技術(Technology)

AI、機械学習、IoT、ビッグデータ、メタバース、MR、VR、特許など

PEST分析では、環境要因を設定して情報収集し、4つのマクロ環境に分類します。

集めた情報は、データや状況などから明確にわかる事実なのか、それとも状況から判断した個人の解釈なのかを明確に分けるのがポイントです。

外部環境の情報を収集し整理することで、売上低迷の原因となる脅威や挽回のチャンスを浮き彫りにできます。

ロジックツリー

ロジックツリーは論理的に問題解決方法を見つけるためのフレームワークです。

ロジックツリーには、以下の4種類があります。

  • Whyツリー(原因研究)
  • Howツリー(問題解決)
  • Whatツリー(要素分解)
  • KPIツリー

Whatツリーは顧客像の具体化や市場分析に役立ちます。

売上低迷を改善する場合は、Whyツリーで根本的な原因を明らかにした後、Howツリーでその原因を解決する方法を具体的に考えるという手順でロジックツリーを使います。

KPIツリーはKGI(経営目標達成指標)を達成するための中間目標を設定するためのものです。

Howツリーで導き出したアクションにKPIを紐づけると、売上低迷を改善するアクションプランが完成します。

3C分析

3C分析は市場環境を分析するフレームワークです。

内部環境である「自社」と外部環境の「市場・顧客」「競合」を分析して、自社の成功要因を見つけます。

自社(Company)

自社の経営資源、市場シェア、技術力、組織力、商品、サービスの強みと弱みなど

市場・顧客(Customer)

市場規模、市場の成長性、状況の変化、顧客ニーズ、顧客の購買意欲など

競合(Competitor)

競合の利益率、競合の社員数、市場シェア、競合商品、サービスの強みと弱み、販売ルートなど

3C分析によって市場・顧客や競合と自社との関係性が明確になります。

売上低迷が続いているなら、顧客ニーズのないものを販売していたり、競合が強い市場で戦っていたりしている可能性があります。

売上改善のためには、競合が弱く顧客ニーズがある市場で自社の強みを活かせるポジションをとることが重要です。

SWOT分析

SWOT分析は自社の内部環境と外部環境を4つの視点で分析し、自社の現状を把握するフレームワークです。

SWOT分析によって売上を改善するためのポイントや、将来的なリスクを把握することが可能です。戦略を立てる際にはクロスSWOT分析をします。

「強み×機会」「強み×脅威」「弱み×機会」「弱み×脅威」で組み合わせると、機会の活用や脅威の回避に繋げます。

ファイブフォース分析

ファイブフォース分析は、自社がさらされている脅威を以下の5種類に分類するフレームワークです。

  • 既存の競合企業
  • 新規参入者
  • 代替品
  • 買い手の交渉力
  • 売り手の交渉力

参入障壁が低い市場であれば、既存の競合企業に加えて新規参入企業や既存商品の代替品が現れて、シェアを取られてしまう可能性が高いです。

市場に競合他社が多く自社との差別化ができなければ価格競争に陥り、買い手(顧客)の競争力が強まります。

自社が仕入れている原材料が貴重なもので取り扱い企業が少ない場合は、売り手(サプライヤー)の交渉力が強まり利益を上げにくくなります。

ファイブフォース分析で市場に存在する脅威の強さを明らかにすることで、自社の売上低下の原因を知り売上を改善する施策を検討できるでしょう。

まとめ

売上の減少に気付いても特に手を打たない、今まで通りの営業販売を続けてしまうケースがあります。

一時のことだからといって放置していると長期的な不振に悩まされるおそれもあるため、分析と改善は常に繰り返し行っていきましょう。

上記の内容以外にもご不明な点等ございましたら、翔彩サポートまでお気軽にご相談ください。

監修者情報

経営コンサルタント         翔彩サポート 代表 広瀬祐樹

【経営分析×経営アドバイス×財務管理】による永続的に繁栄する経営体制を支援。

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