少額減価償却資産の特例とは?

経営情報

皆さんこんにちは 長崎県佐世保市にある経営コンサルティング会社 翔彩サポートです。

今回は、『少額減価償却資産の特例』について解説していきます。

減価償却資産とは?

減価償却資産とは、事業で使用する資産のうち、時間の経過に応じて価値が減少していく資産をいいます。

土地や骨とう品のような、時間とともに価値の減少が生じない資産は減価償却資産には該当しません。

中小企業の少額減価償却資産の特例

中小企業の少額減価償却資産の特例の正式名称は「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」といいます。

事業で使用した取得価額30万円未満の減価償却資産について、特定の条件に該当する中小企業者等を対象に一定の金額までを損金に算入できる税法上の特例です。

取得価額10万円未満または使用可能期間1年未満の減価償却資産は、消耗品費などの勘定科目を用いてその年の経費として計上することが認められています。

この制度はすべての企業が対象となっており、事業規模や白色・青色確定申告を問わず適用できます。

少額減価償却資産と一括償却資産はどう違うのか?

少額減価償却資産の特例は、中小企業者等を対象に取得価額30万円未満の減価償却資産に適用される特例です。

その他、10万円未満の少額の減価償却資産の取得価額を全額損金算入できる特例があるため、取得価額10万円以上30万円未満の減価償却資産が対象です。

この他、減価償却資産に関する特例には前回の投稿でご紹介した「一括償却資産の損金算入」があります。

これは取得価額20万円未満の減価償却資産を法定耐用年数に関わらず3年で均等償却できる税法上の特例です。

少額減価償却資産の特例とは異なり、すべての企業が適用できます。

少額減価償却資産の特例の対象になるのは?

少額減価償却資産の特例を適用できるのは、下記の要件のすべてを満たす特定の中小企業者等に限定されています。

  • 青色申告法人であること
  • 資本金または出資金の額が1億円以下であること
  • 常時使用する従業員数が500人以下であること(2020年3月31日以前取得の減価償却資産は従業員数1,000人以下)
  • 連結法人でないこと

上記の条件を満たしても、下記に該当する法人は対象外となります。

  • 大規模法人(資本金または出資金の額が1億円超の法人、大法人(資本金5億円以上の法人など)との完全支配関係にある法人)に発行済株式の総数または出資金総額の2分の1以上を所有されている法人
  • 複数の法人に発行済株式の総数または出資金総額の3分の2以上を所有されている法人

対象になる資産

少額減価償却資産の特例の対象になるのは、取得価額30万円未満の減価償却資産です。

ただし、取得価額30万円未満でも、主要な事業として行われるもの(リース事業者の所有する減価償却資産など)を除き、貸付けの用に供した資産は対象外となります。

貸付けの用に供した資産を特例から除外する内容は令和4年度の改正により適用されました。

大量に取得した少額減価償却資産を貸付け、特例を適用して損金に算入したのち、すぐに売却を行うことにより課税所得を繰り延べることに対処する必要性があったためです。

また、一事業年度内に特例の対象にできる少額減価償却資産の合計額には限度が定められており、300万円に達するまでとされています。

この特例を上手く使うことで、節税を図ることができますが、資産を購入する=キャッシュが減ることですので、節税を優先に考えていると資金繰りが厳しくなる時が来ます。

また、本当に事業で使用するかどうかを見極めてから購入するようにしましょう。

実務上、よく見かけるのは購入した資産を使わずに倉庫に眠っているケースがあります。

それはお金の無駄遣いになりますので、そうならないように注意してください。

上記の内容以外にも少額減価償却資産の特例や経営について詳しいことや気になることがございましたら、翔彩サポートへお気軽にお問い合わせください。

監修者情報

経営コンサルタント         翔彩サポート 代表 広瀬祐樹

【経営分析×経営アドバイス×財務管理】による永続的に繁栄する経営体制を支援。

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