赤字経営からの脱却|利益体質へと変貌を遂げた理由

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赤字経営からの脱却|利益体質へと変貌を遂げた理由

皆さん、こんにちは。
長崎県佐世保市で経営コンサルタントをしております、翔彩サポート代表の広瀬です。

今回は、長年赤字経営が続いて、資金繰りも悪化の一途をたどっていた建設会社様からのご相談です。

経理担当者の徹底した原価管理と社長の血の滲む営業活動により、最終的に収益化への道を切り開きました。
現在、資金繰りに悩んでいる経営者の方は、参考にしていただければと思います。

赤字経営が続いていた理由

この建設会社の場合、見積り時点では35%の利益を想定していました。しかし、実際に工事が完了して、試算表に表れてくる利益率はわずか15%だったのです。

この大幅な乖離の原因は大きく分けて2つ。

  • 翌月の資金繰りのための採算度外視の受注
  • 積算の甘さ、追加費用の発生

赤字経営が続いていた最大の理由は、翌月や翌々月の支払いを賄うために利益を無視した受注を繰り返していたことです。資金繰りが厳しい状況において、目の前の支払いを優先するために「とにかく仕事を取らなければ」という焦りから、採算度外視の価格で受注してしまうケースが続いていました。

また、見積もりの​​段階で適切な積算が甘く、必要なコストを正確に計算できていないケースが多発していました。本来であれば、材料費や人件費の変動を考慮し、ある程度の余裕を考えて検討すべきところを競争の激しい市場で受注を優先するあまり、ギリギリの価格を提示し続けた結果、工事が進みはじめ設計変更や追加工事が発生する度に、これらの費用が重なっていきました。

また、請求書の処理が現場ごとに一元化されておらず、各工事の実際の収支を正確に把握できていなかったことも問題でした。経理担当者は、一つ一つの請求書を分析し、現場ごとに費用を振り分けることで、ようやくどこで利益が失われているのかを明確にすることができました。

赤字経営を抜け出すための施策

この現状を受け、社長は営業の段階からしっかりと利益が確保できる見積もりを提示し、受注を行う方針へと転換しました。

これまでは翌月の支払いを賄うために、利益を度外視した受注をしていたことが、赤字を拡大させる最大の要因でした。そこで、利益を確保した受注にシフトし、 利益を生まない仕事は取らない という強い意識を持つことが重要だと認識したのです。

コンサルタントとしてのサポートに入らせていただき、次の2つの施策を実施しました。

原価管理の徹底

これまで会社の経営を圧迫していた大きな原因の一つは、「どの工事でどれだけ利益が出ているのか」「どの現場でコストがかかりすぎているのか」が掴めなかったことでした。そこで導入したのが、「専用の原価管理表」です。
この表を使うことで、現場ごとの収支を毎月細かくチェックし、「どの工事が儲かっているのか」「どの工事が大丈夫なのか」を一目で理解することにしました。

特に改善したのが、見積りの精度と追加費用の管理です。これまでは、工事が始まってから追加でかかる費用を十分に計算できず、利益を圧迫する原因になっていました。「終わってみたら思ったより稼げなかったから…」という状況を一時中断し、仕事の進捗段階からしっかり利益を確保できる体制が整いました。

金融機関へのリスケ交渉

資金繰りが厳しい中で、毎月の借入返済は会社の経営を圧迫し続ける最大の問題でした。
このままでは会社を続けられない。そう判断し、金融機関に対して借入のリスケジュール(変更条件)を交渉しました。しかし、リスケ交渉はそう簡単なものではありません。

毎月の試算表を金融機関に提出し、経営状況の透明性を確保することからスタートしました。金融機関が一番考えるのは、「この会社は本当に返せるのか?」という点です。利益率が改善した現場と赤字になった現場の具体的な事例を用意し、それぞれの課題を説明することも必要です。

今後の受注計画を具体的に示し、資金繰り改善の光があることを説明した。
金融機関も「この会社を支援することで将来的に回収できる」と判断すれば、交渉に応じやすいようになります。金融機関にとって「この会社を支援するメリットがある」と納得させるだけの準備と交渉力が必要です。

そして交渉の結果、1年間の元本返済をストップしてもらえることが実現しました。これまで年間で返済していた金額は元本だけで約1,000万円。返済を止めていただいたことで資金繰りが安定し、受注に基づいて利益を確保できる体制が整えられました。今もこの建設会社は、安定した経営基盤を築くことができています。

交渉に必要なのは、「お金が足りないから待ってほしい」ではなく、「会社を立ち直すために計画的に動いている」という姿勢を見せることが重要です。

経営改善の成果と今後の展望

これらの取り組みを進める中で、資金繰りの余裕が生まれ、赤字経営からの脱却が実現しました。

これまで資金繰りに追われ、利益を無視した受注を繰り返していた状況から一転し、安定した収益を上げる体制まで変革を実現しました。

特に原価管理を徹底したことで、見積もり段階で利益を確保する仕組みが整い、余計な追加費用が減少しました。これが大きな変化を生み、無駄なコスト削減に繋がり業績は安定しました。利益を確保しながら安定した受注ができる体制が整い、これまでとは異なる安定感を感じられるようになりました。

赤字経営から脱却するためには、「場当たり的な対応をやめ、数字に基づいた確実な経営判断を下すこと」が必要です。目先の資金繰りに焦って利益を無視して受注を続けていても将来どこかで壁にぶち当たります。

業種は違えど、この成功事例が同じように経営に悩んでいる会社の一助となり、今後の経営改善への参考になれば幸いです。

相談者様からのメッセージ

広瀬さん、毎月のサポート、本当にありがとうございました。 会社がどん底にあった時、広瀬さんのサポートがなければ、今のように立ち直ることはできなかったと思います。

社長も、あの時は「何かを変えなければいけない」と感じつつも、目の前に問題に追われることもありましたが、どうしてもその場しのぎでの対応になってしまっていました。

特に、数字に基づいた経営改善の重要性や現場ごとの原価管理の徹底、利益を確保する受注の仕方など、一つひとつがどれも重要で、会社として本当に助けていただきました。これからも不安なことがあっても教えていただいたことを胸に抜け出すことができると思っています。 今後もこの経験を踏まえて、より強い経営基盤を確立して行きます。

翔彩サポートからのメッセージ

経営サポートに関わらせていただき心から感謝しています。

私の会計指導にしっかりと耳を傾け、実践していただいたことが、今回の結果に繋がっていると確信しています。

社長が慣れない中で、外に出て必死に営業活動を続けたことも会社の回復には欠かせない要素でした。

経営改善は、ただの理論や方法論だけで上手くいく程簡単なものではありません。実践に移し、目の前の課題を一つクリアしていくことが、最も重要で大変なことなのです。
社長が示してくれたその覚悟と行動力が、今回の成果が生んだのだと思います。

これからもサポートを続けさせていただき、会社がさらに成長していくために全力でお手伝いさせていただきます。 ここまで本当にお疲れ様でした。 そして、今後も共に歩み続けられることを心から楽しみにしています。

監修者情報

経営コンサルタント|翔彩サポート

【経営分析×経営アドバイス×財務管理】による永続的に繁栄する経営体制を支援。

経営について悩んでいることがあれば、どんなことでも構いません。お気軽にご相談ください。