節税とは何か?
皆さんこんにちは 長崎県佐世保市にある経営コンサルティング会社 翔彩サポートです。
今回は「節税とは何か」について解説します。
節税をすると納める税金を削減できるため、手元資金の増額につながります。ただし、やり方を間違えると脱税行為と見なされたり、ペナルティが課されたりする恐れがあるため注意が必要です。
節税とは?
節税をする際はまず、節税に関する基本的な知識を身に付けることが大切です。節税は合法的に納める税金を減らす行為であり、所得を隠ぺいしたり納めるべき税金を故意に支払わなかったりする行為のことではありません。
節税は税務制度に即した方法で、合法的に納める税金を減らす行為です。具体的には、控除を用いたり、経費を適切に計上したりすることで納める税金を抑えられます。
控除とは、所得や算出税額から一定額を差し引きできる制度です。所得税や住民税を計算する際に控除を利用することで、税額が小さくなります。また、経費とは業務のために使用したお金のことです。所得を出す際は利益から経費を差し引きするため、経費が増えれば課税対象になる所得を小さくできます。
節税は脱税ではない
脱税とは、違法な方法で会社の利益や納める税金の額を減らす行為です。「実際の所得よりも低く申告する」「本来経費にできない費用を計上する」といった行為は脱税と見なされる恐れがあります。脱税行為の一例は以下の通りです。
- 経費や人件費の水増し
- 売上の過少申告
また、申告内容に不明瞭な点があると、脱税の可能性があるとして調査される可能性が高くなります。脱税と判断された場合、ペナルティが課されるため注意しましょう。
節税時の失敗
節税方法を間違えると脱税につながる恐れがあります。節税時に起こりやすい失敗や注意点を事前に確認し、対策を立てることが大切です。
不要な支払いが増える
節税時のよくある失敗として、大きな節税を目指すために余計な支出が増えてしまうことが挙げられます。例えば、減価償却費を増やそうとして不要な事務用品を購入したり、経費を増やそうとして会社用の車を買い替えたりするといったケースです。
支出が増えれば、保有資産が減ります。節税の目的は手元資金の増額であるため、余計な出費が増えるのは本末転倒です。
所得の申告漏れ
申告漏れとは、計算ミスや申告書の記載ミスによって納める税額が少なくなることです。また、申告期限に遅れても申告漏れと見なされることがあります。
申告漏れは悪意がないケースもあることから、悪質性が低ければ脱税とは見なされません。しかし、過少申告税や無申告加算税などが加算されるため要注意です。
何でもかんでも経費算入する
経費を増やせば課税所得が減るため、「何でも経費にしてしまおう」とする方も中にはいます。しかし、本来経費計上できない費用まで申告すると、所得を過少申告したとしてペナルティが与えられるため止めましょう。
経費に計上できる費用の範囲は、法人か個人事業主かといった立場によって異なります。自身のケースではどのような費用が経費になるのかを事前に確認し、会計知識を深めておくことが大切です。
個人事業主の節税方法
個人事業主は自身で経費や所得税の計算をして、税務署に申告をします。計上する経費を増やしたり、特別控除を利用したりすることで節税が可能です。
青色申告の選択
青色申告とは、個人事業主における確定申告方法の一種です。青色申告と白色申告の2種類の申告方法があり、青色申告を利用することで、より税制優遇の恩恵を受けられます。青色申告の特徴とメリットは以下の通りです。
- 青色申告特別控除
- 青色申告専従者給与
- 繰越欠損金の活用
- 少額減価償却資産の特例
青色申告で申告する際は、申告する年の3月15日(1月16日以降に開業したときは開業の日から2か月以内)までに「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。また、複式簿記による帳簿の提出も求められるため、青色申告を利用する際は会計知識も深めましょう。
プライベートの費用と家事按分する
家事按分とは、プライベートと事業の両方で使用している費用において、事業用として使用している分だけを経費計上する会計方法です。自宅で仕事をしている方や、プライベートと仕事で同じパソコンを使用している場合などは、家賃や通信費を使用割合に応じて按分できます。
例えば、通信費1万円のうち2分の1を事業に使用しているとすると、5,000円分を経費計上できます。家事按分を考慮せずにプライベートでの使用分も経費に計上してしまうと、税務調査で指摘を受ける恐れがあるため注意しましょう。
小規模企業共済への加入
小規模企業共済とは、個人事業主や中小企業経営者が退職金の代わりとして積立をするための共済保険です。月々の掛金は1,000円~7万円の範囲で自由に設定可能で、掛金の全額を所得控除できます。
また、小規模企業共済に加入すると、今までの掛金のうち一定割合までの貸付を受けられるのもメリットのひとつです。売上が減少した際や経営状態がひっ迫したときにも、迅速に事業資金を用意できます。
法人の節税方法
法人に課せられる税金は法人税です。法人が事業活動で得た所得に対して、一定の税率が課せられます。
納める法人税を削減し、事業活動に使用できるお金を増やしたいと考えている経営者の方は多いでしょう。
会社の設備投資や従業員への還元
会社や従業員への投資とは、教育費や資格取得費用、福利厚生費を増やすことです。会社や従業員への投資にかかる費用は、一定の条件に合致する場合、経費として計上できます。
ただし、従業員への還元は単に給与額を増やせば良いというわけではありません。
給与が増えれば会社を辞めないという昔の考え方では通用しない現代社会ということを忘れてはいけません。
従業員一人ひとりときちんと向き合うことが大事です。
経費計上の幅が広がる
法人の場合、経費計上できる範囲が広いため、できるだけ漏れのないよう計上することが大切です。例えば、以下のような費用も経費として認められます。
- 従業員の住んでいる家(社宅)
- 不要な在庫を処分した費用
- 会社で使用している車にかかる費用(社用車)
- 従業員への給与や賞与といった未払費用
- 経営セーフティ共済の掛金 など
こういった費用を経費計上することで、課税所得の削減が可能です。法人税額は「課税所得×税率」で計算するため、課税所得が減れば納める税額も削減できる可能性があります。
赤字の繰り越し
赤字所得の繰り越しも法人税の節税に有効です。赤字所得を繰り越しすると、黒字所得になった年に、その黒字分を赤字所得で相殺できます。また、一定の条件を満たせば、損失金の繰り戻しも可能です。繰り戻しの制度を利用すると、過去の黒字所得を赤字所得で相殺できます。
法人に認められている損失金の繰り越し期間は最長10年です。個人事業主は最長3年と法人に比べると短くなりますが、個人事業主でも条件を満たせば損失金の繰越控除を利用できます。
まとめ
節税は会社に体力(資金)を残しながら進めていくものです。
節税目的のために多額の資金を使っての節税は資金繰りの悪化を生みますので注意してください。
上記の内容以外にもご不明な点等ございましたら、翔彩サポートまでお気軽にご相談ください。
監修者情報

経営コンサルタント 翔彩サポート 代表 広瀬祐樹
【経営分析×経営アドバイス×財務管理】による永続的に繁栄する経営体制を支援。
経営について悩んでいることがあれば、どんなことでも構いません。お気軽にご相談ください。