売上原価の考え方

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売上原価の考え方

皆さんこんにちは 長崎県佐世保市にある経営コンサルティング会社 翔彩サポートです。

今回は「売上原価」について解説します。

売上原価とは?

売上原価とは、販売した商品を仕入れたり、作ったりする際にかかった経費のことで、仕入代金や材料費などが該当します。

商品の売買が成立した(売れた、サービスを提供した)際に計上する原価を指す言葉で、原則的に購入されていないもの(売れていない商品、提供されていないサービス)の原価は売上原価に含みません。ただし、売上原価に含める範囲は業種によって異なります。

小売業

小売業では、仕入代金のうち、実際に売れた商品分が売上原価に該当します。

ただし、棚卸時に数が足りなかったロス分や、経年劣化などによる評価損も、売上原価に含まれます。
ロス分の原価とは、在庫の不足が生じた場合に計上します。

たとえば、書類上は100個あるはずの商品在庫が、実地棚卸をした際に98個しかなかったとします。

この場合、2個分のロスが生じているため、この2個分の原価を計上しなければなりません。

サービス業

サービス業では、売上原価はほとんど発生しません。

客先にサービスを提供するために必要な外注費は売上原価に該当しますが、それ以外の費用はほぼないといっていいでしょう。

反面、広告費や販管費などが高額になりがちな業種です。

建築・製造業

建築・製造業では、商品を製造するために必要な直接的なコストである「製造原価」に、商品を販売するために必要な経費を加えたものが基本です。

材料費だけでなく加工に直接的に掛けた労務費や光熱費などが製造原価となり、最終的に売上原価に振り替えられます。

飲食業

飲食業の売上原価は、基本的に材料に掛かった費用が該当します。

しかし、飲食業と一口に言っても、小規模の個人店からセントラルキッチンを保有する大手チェーンまであります。

そのため、人件費や光熱費も、売上原価に含まれるケースがあります。

売上原価の分類

売上原価は、企業が製品を販売することによって発生する費用である。売上高から粗利益を差し引いて計算されます。

売上原価は、大きく3つに分類することができます。

直接費

直接費とは、製品やサービスを販売する上で直接的に発生している原価を指します。
例:原材料、機械操作のための労務費、外注費

間接費

間接費とは、家賃や光熱費など、特定の製品に直接関連付けることができず、会社全体に関わる費用です。

そのため、どの製品にどれくらいのお金がかかっているのか、具体的に特定することが難しい費用でもあります。
例:製品の製造に関わる機械の減価償却費、福利施設負担費、保険料

販売費

販売費とは、広告宣伝費や手数料など、製品を販売する際に発生する費用です。

上記の費用は流動的な費用といえます。

分類方法に決まりがなく、企業の考え方次第でどの費用にもなり得るからです。

そのため、あくまでも「原価管理を明確化するツールのひとつ」と捉えることが大切です。

製造原価との違い

製造原価と売上原価の大きな違いは、製造原価は「製造に掛かった費用」を対象としており、売上原価は「販売にかかった費用」を対象としていることです。
製造原価は商品や製品を生産するために必要な費用を指します。

期中に製品を製造するためにかかった費用のことであり、売れたかどうかは問いません。

なお、製造原価を算出する際は「材料費」「労務費」「経費」の3つに分類することで、どこに無駄な費用が発生していて、何を改善すべきかがわかります。

売上原価はなぜ重要視されるのか?

売上原価が重要視される理由は、主に下記の3点です。

  • 利益計算の基礎
  • 費用と価格の管理
  • 収益性の分析に必要な指標

具体的な内容については、以下で詳しくご説明します。

利益計算の基礎

売上原価は、企業が商品やサービスを提供するために必要なコストの総額を示す指標です。

企業は、売上原価を下回る価格で商品やサービスを提供することはできません。

したがって、企業が利益を計算するためには、売上原価を正確に算出することが必要不可欠です。

費用と価格の管理

売上原価をしることで、生産やサービス提供にかかる直接の費用の「無駄や効率性」を把握することができます。

価格の設定と原価を正しく管理することができれば、その他の固定費を計算することで企業の長期的な損益も計算することが可能になります。

長期的な経営ビジョンを描いて、それを具体的な数字として落とし込むことで、ビジョンの実現を手助けする事業計画を作成することができるようになるのです。

収益性の分析に必要な指標

売上原価は、企業の収益性を分析する上で必要な指標の一つです。

売上原価が高い場合、企業はより高い価格で商品やサービスを提供しなければいけません。

反対に、売上原価が低い場合、企業はより低い価格で商品やサービスを提供できます。

このように、売上原価は企業の収益性に直結する指標であり、企業の収益性を分析する上で必要不可欠な要素です。

まとめ

販売した商品・サービスの仕入や製造で発生した費用を指すのが、売上原価です。業種ごとに考え方や計算方法、決算整理仕訳などが異なるため、注意しましょう。

上記の内容以外にもご不明な点等ございましたら、翔彩サポートまでお気軽にご相談ください。

監修者情報

経営コンサルタント         翔彩サポート 代表 広瀬祐樹

【経営分析×経営アドバイス×財務管理】による永続的に繁栄する経営体制を支援。

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