売上基準

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売上基準

皆さんこんにちは 長崎県佐世保市にある経営コンサルティング会社 翔彩サポートです。

今回は「売上基準」について解説します。

売上基準とは?

売上高を計上するとき、日付はお客様と契約をした日なのか、商品やサービスをお客さんに提供した日なのか、お客様から入金された日なのか、迷ったことはありませんか?

商品やサービスを販売した場合、どのタイミングで帳簿に売上を記入すればよいのでしょうか。

一般的な取引を例に挙げても、売上を計上できそうなタイミングは複数考えられます。

  • 売買契約が成立したタイミング
  • 顧客の注文を受け付けたタイミング
  • 商品の発送を行ったタイミング
  • 輸出品の船積みを行ったタイミング
  • 顧客の住所に商品が到着したタイミング
  • 顧客が商品の検収を行ったタイミング
  • 売掛金の回収期限が訪れたタイミング
  • 代金を回収したタイミング

売上を計上するタイミングを決める基準のことを「売上計上基準」といいます。

原則として、売上計上基準は取引ごとに変更することができません。

売上計上基準を一度決めたら、同じ会計処理のルールが継続的に適用されます。

もし、簡単に変更できてしまうと「今期は営業成績が不調だから、早めに売上高を計上する」ことや「今期は好調で税金を払いたくないから、後で売上高を計上する」ことができるようになってしまうからです。

売上計上基準の原則は「実現主義」

現在の日本では、経費計上のタイミングや考え方は大きく「発生主義」「現金主義」「実現主義」の3つにわかれます。

「製品を受注した時点で売上に計上する」という発生主義を採用している企業もあれば、「納金されてはじめて経費に計上する」という現金主義の企業もあります。

今までは企業の考え方や方向性によってさまざまな経費計上スタイルが認められていましたが、2015年3月から経費計上などに対する新たなルールの整備がはじまりました。

このルールは、今まで経費計上のタイミングとされていた「発生主義」「現金主義」「実現主義」の3つを「実現主義」に統一するというものです。
よって、現在の売上計上基準の原則は、「実現主義」という、販売の実現をもって計上するという原則です。

企業会計原則の中で「売上高は、実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに限る」と規定されています。

実現主義について

販売の実現時点の考え方は業種やサービスによって異なります。

たとえば一般の販売業の場合では、以下のような基準があります。

  • 出荷基準(商品を発送または配送のトラックに乗せた時点)
  • 納品基準(販売先に商品が届いた時点)
  • 検収基準(販売先が検収し、商品に問題がないことが確認された時点)
  • 船積基準(輸出品に多く用いられる基準で、B/L(船荷証券)の日付で売上を計上する)
  • 使用収益開始基準(土地・建物を販売する不動産業等で用いられる基準で、相手が商品を使用し、収益を上げることが可能になった時点で売上を計上する)

実現主義で収益を認識することは、商品やサービスの提供が実現したという事実にもとづき、確実な収益のみを計上できるという利点があります。

売上計上にあたっての注意点

売上計上は、企業で利益を得るために重要となるポイントですが、気を付けなければならない注意点もあります。

売掛金の取扱いに注意

掛け売りを行うことで、取引先や売上を増やせるケースがあります。

ただし、売上を計上しても取引先の倒産などで本来入るはずだったお金が入らず、経営ダメージを受けるケースもあります。

常に「支払いが期日通りに行われているかどうか」を確認しておきましょう。

売上計上基準選び

売上計上基準は合理的な理由があれば企業の都合などに応じて選択が可能です。

しかし、一度基準を選ぶと特別な理由がない限り変更ができなくなります。
具体的には販売方法や契約内容、取引条件の変更や取引量の著しい変化などが認められなければ売上計上基準を選びなおすことはできないため、慎重に選択を行いましょう。
仮に変更が必要となった場合、正当な理由があることを立証する必要があるため、証拠となる資料は必ず保管しておきましょう。

売上計上のタイミング

もし、売上をいつも異なるタイミングで計上している場合は会計期間中の正しい損益が計算されず、誤った内容の決算書になってしまいます。

その場合、決算書をベースに作成される税務申告書も、やはり間違ってしまうことになります。

当期に計上すべき売上高が計上されていなければ、延滞税や過少申告加算税が課されてしまう場合もあります。こうしたミスにつながらないよう、売上計上基準は必ず把握しておきましょう。

まとめ

売上計上基準の種類はさまざまですが、一度決定してしまうと基本的に変更することは難しいです。自社の業種や状況などを踏まえた上で慎重に選びましょう。

上記の内容以外にもご不明な点等ございましたら、翔彩サポートまでお気軽にご相談ください。

監修者情報

経営コンサルタント         翔彩サポート 代表 広瀬祐樹

【経営分析×経営アドバイス×財務管理】による永続的に繁栄する経営体制を支援。

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